38歳ゲイリーマンのサバイバル

この記録がいつか自分自身の・誰かの道標になりますように

書評

【書評】満州建国の真実(鈴木荘一)

日露戦争あたりから満州国建国の歴史をたどる教科書的な本(例えば中公新書の『キメラ』)を期待して読んでみたら、全然違った。かといって一方的に満州国の正当性を説く本でもない。あえて言えば、石原莞爾礼賛の本だ。 だから、最大の収穫は、石原莞爾の思…

【漫画】青のフラッグ(KAITO)

ゲイに生まれて良かったと思う事もそうでないことも経験してきたこの38年。昨日から今日にかけて一気に読んだ「青のフラッグ」(作画KAITO、集英社)は、そんな自分の人生で葛藤してきたことが高校3年生の1年に凝縮されたような、そんな話。言っておくけど、全…

【書評】お金が増える米国株超楽ちん投資術(たぱぞう)

旦那と共に日本社会で生きていくゲイとして一定度の経済力を持ち続けたい、という願いから僕が資産運用に傾注しているのは皆さんもご存じの通りですが、それに関連して読んでみた本。(ご存じの通り、ってそもそも誰も知らないか(笑))。 この本の要諦は「米国…

【書評】遠い太鼓 (村上春樹)

40歳というのは、我々の人生にとってかなり重要な意味を持つ節目なのではなかろうかそれは何かを取り、何かを後に置いていくこと、一つの大きな転換点なのだ。 当たり前のことを、こうやって書かれると「ふむふむ、なるほど」なんて思いたくもなるが何のこと…

【書評】『日本軍兵士』(吉田裕)

軍人・軍属230万人、民間人80万人合計310万人の日本人の犠牲と、1900万人とも推定される犠牲をアジア全域にもたらした大東亜戦争。この本は、この戦争を兵士が直面した凄惨な戦場の実相という観点で描き出したものだ。 僕の読了後の感想は「やはり、あの戦争…

【書評】『民主主義とは何か』(宇野重規)

【書評】『民主主義とは何か』(宇野重規) 政治思想史の大家が記した現代民主制が直面する問題を掘り下げた一冊。民主主義とは「参加と責任のシステム」であると定義し、古代ギリシアから今に至るまでの民主主義の議論の変遷を扱うのだが、合わせてコロナで…

【書評】財政破綻後

コロナ禍の最悪期を徐々に脱しつつある世界を見て、本棚からふと取り出した。日本政府が給付する国民一律10万円をはじめとする経済対策の原資は借金なのだが、返済方法の議論が一向に始まらない日本への不安を増幅させるのにぴったりの一冊。 第一章 人口減…

【書評】1984年

ジョージオーウェルの1984年を読んだ。 今ある自由主義社会の前提を全てひっくりかえしたらこうなるのだろう。 自由、選挙、信用、プライバシー、友情、愛、性、歴史、経済、自然、未来… こういったものが全て否定された時代のロンドンに生きる主人公ウィン…

【書評】嫌われる勇気

■ポイント ①課題の分離 ・自らの生について、自分ができるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」。 ・その選択に対し他者がどのような評価するかは他者の課題であって自分ではどうしようもできない。 ・これだけ頑張っているのだから評価されるべきだ。こ…

【書評】となりのイスラム

ずっと前に買って何度か読んで頭に残っていなかった本の再読だ。 ■要点 ・第二次大戦後、欧州に入ってきたイスラム教徒がイスラム回帰を強めた背景は国によって異なる。ドイツはドイツ人との見えない壁による疎外感、オランダは極限の自由奔放憂さによる道徳…